月
「月」
浮かれ世間の泥かぶり
八方やぶれの嘘まみれ
がんじがらめの檻の中
しょっぱい涙が心に沁みる
夢に背いて俺が泣く
泣くな泣くなと月は言う
傷の深さに俺が泣く
泣くな泣くなと月も泣く
数えきれない裏切りに
生きてゆけぬと酒呷る
情け無用の雨の中
孤独な男の背中が叫ぶ
息を殺して俺が泣く
生きろ生きろと月は言う
こらえきれずに俺が泣く
生きろ生きろと月は言う
どうせ散りゆく運命(さだめ)なら
力のかぎり突き進め
戦い挑む兵(つわもの)よ
命のすべてを覚悟に変えろ
人生(みち)はあるかと俺が問う
あるぞあるぞと月は言う
どこにあるかと俺が問う
明日にあるさと月は言う